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草野河豚

Author:草野河豚
東北人。現在は実家で修行中。
乱読気味で、読む本にバラつき有り。
ラノベ・ミステリ・ファンタジーを比較的好む。
あと軽くオタ入ってます。

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梶井基次郎『檸檬・冬の日 他九篇』
檸檬,冬の日 他9篇
檸檬,冬の日 他9篇

 まだ読んだことがない――と思っていたら読み覚えがありました。「檸檬」は国語で習っていたようです。懐かしい気もあり、不思議な気もあり。個人の思いがつらつらと書かれているので、当時は何が面白いのか理解できませんでした。まだ小説に慣れていない頃でしたが。

 今読み返すと旅行記のような気軽さがあります。大正~昭和初期の作家なのに古さを感じさせないのはその書き方にあるのでしょうか。はっと気付いた感情をもどかしくも表現していく姿勢には、今でも共通する物があります。

 君には多分こんな経験があるだろう。――私の力ではそれがどうしても口では伝えることが出来ないのだが、――もし君がそれを経験しているのだったら、あるいはこのような甚だ歯がゆい言い方だがそれで、「ああそれそれ!」と相槌を打ってくれるだろうと思う。

「瀬山の話」


 常体なのに話し言葉のような、不思議な文章です。岩波文庫版に収められている話では「瀬山の話」のラストが特に印象的でした。視覚に訴える手法って、現代が発祥じゃないんですね。面白い。
 最後に好きな文章を引用します。

 「家の近所にお城跡がありまして峻の散歩には丁度良いと思います」姉が彼の母の許へ寄来した手紙にこんなことが書いてあった。着いた翌日の夜、義兄と姉とその娘と四人で初めてこの城跡へ昇った。旱(ひでり)のためうんかがたくさん田に湧いたのを除虫灯で殺している。それがもうあと二、三日だからというので、それを見にあがったのだった。平野は見渡す限り除虫灯の海だった。遠くになると星のように瞬いている。山の狭間がぼうと照されて、そこから大河のように流れ出ている所もあった。彼はその異常な光景に興奮して涙ぐんだ。風のない夜で涼みかたがた見物に来る町の人びとで城跡は賑わっていた。闇のなかから白粉を厚く塗った町の娘たちがはしゃいだ眼を光らせた。

「城のある町にて」



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読書日記 | 03:04:12 | Trackback(0) | Comments(0)

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